発売後に改めて『COMPLETE SICKS』を聴いてみました。
今まで話した事があったかどうかは分かりませんが、『SICKS』のレコーディングで印象に残っているのは、実は意外にも「淡い心だって言ってたよ」のリズム録りだったりします。もちろん、全ての曲が大事で大好きな曲達ばかりですし、録音されているテイクも気に入っているものばかりですから、そういう事ではなくあくまでも印象的な場面という点においてです。
特典DVDを見て頂いた方なら想像は付き易いと思いますが、決してコンクリート打ちっ放しなどではなく、ましてや吸音加工なども施されていない無骨なスタジオには窓がたくさんあり、片一方の方角から陽の光が差し込んでいました。
季節的なものにロンドン郊外という事も相まって、決してそう高くはない位置から穏やかに優しくその陽の光は差し込む。その光に向かうようにセッティングされたドラムセットに座り、正面に差し込んで来る陽の光に少々目を窄めながらリズムトラックのレコーディングを行なっていきました。
自然光に囲まれてレコーディングしていく中で心身ともにとてもリラックスしていったのを覚えています。
僕はライブではもちろん、レコーディングにおいてもどうしても気負ってしまう性格なので、凄くニュートラルな状態でレコーディングしている自分がとても新鮮でした。
全曲、全編、そういう感覚を覚えながらレコーディングしていく中で、曲調も相まって「淡い心だって言ってたよ」という曲でそれが最高調に達したのだと思います。
「その時の自分がそのまま記録(レコード)された」
そんな風に感じた瞬間でした。
実際のところはあまりにまったりとし過ぎていてHEESEYが弾き辛そうだったので、叩き直した2テイク目がOKだったりするんですけどね…、ははは。まあ、基本、一緒です。
その一連の作業はとても最高で素敵な瞬間、かけがえの無い時間でした。
今、思えばまさに
「今この時間は僕たちのとても大切な瞬間」
だったのだと思います。
もしかすると、あの時にすでに「今が最高」だと感じていたのかも知れない。
どこかで「続くと良いな」と思っていたと思う。
そして「続けられるだろう」とも…。
ただ、時間は過ぎて行く。
宇宙だって歳を取っていくのだから、それは仕方が無い事だろう…。
僕の人生は人間としてはすでにもう折り返し地点まで来ているのかも知れない、
でも、音楽人生だけは折り返す事はない。
そう思ってまだまだ歩いて行こうと思う。。。
「大切な瞬間」をもっと増やす為に